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最高裁判所第二小法廷 昭和54年(行ツ)46号 判決

上告人

曽我部農業協同組合

右代表者理事

松岡與一

被上告人

京都府知事

林田悠紀夫

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

行政庁相互の間においていわゆる権限の委任がされ、委任を受けた行政庁が委任された権限に基づいて行政処分を行う場合には、委任を受けた行政庁はその処分を自己の行為としてするものであるから、その処分の取消しを求める訴えは、右委任を受けた行政庁を被告として提起すべきものであつて、委任をした行政庁を被告として右訴えを提起することは許されない、と解するのが相当である。これを本件についてみると、被上告人京都府知事は地方税法に定める法人府民税及び法人事業税の賦課徴収に関する権限を京都府亀岡事務所長に委任しており、本件差押処分は同事務所長が委任を受けた権限に基づいて行つたものであるから、右差押処分の取消しを求める訴えは右亀岡事務所長並河秀行を被告とすべきものである。これと同旨の原審の判断は、正当であつて、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条を従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(塚本重頼 大塚喜一郎 栗本一夫 木下忠良 鹽野宜慶)

上告人の上告理由〈省略〉

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